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ICからSDMへ

前回はAsk Me 3という方法を使って,患者さん側から自分の病状について質問してもらうことで,患者さんも診療チームに入っているのだということの認識を持ってもらうことと同時に,病気を他人事ではないものとして捉えて向き合ってもらいたいなと思っています.


一方で,どうしても専門的になっていく医学的な方針(検査や治療)について,患者さん側から提案するのは難しいところです.そこで医療者側が十分に説明をすることが求められます.提案はできませんが,話は聞いて判断をすることは可能ですよね.


20年ほど前にインフォームドコンセント(Informed Consent;IC)という言葉が出てきて,医療者は十分に情報を伝え(インフォーム)て,同意を得る(コンセント)ことが大切であるということが言われるようになりました.

おそらく途中から誤解されてしまったのは,「同意さえ得られればよい」という風に,十分な説明をすることや患者さん側の理解を進める努力とは別に,同意書をとることが重要視される風潮になっていたように思います.

もちろん,明らかに誰もが合意する『エビデンス』が存在する場合は,インフォームドコンセントで問題ありません.良い悪いがかなり明確となっている領域ですので.


一方で,エビデンスが乏しい領域もあります(エビデンスが乏しいことが,その検査や治療を否定するものではないことは以前の投稿をご確認ください).その分野においては,インフォームドコンセントでは十分ではありません.なぜなら説明する根拠(エビデンス)が乏しいからです.

例えば,Aという薬を使えば余命が6ヶ月延びるとします.しかし,その6ヶ月は吐き気などの有害事象のためにあまり満足できる生活が送れないかもしれません.

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もちろん,満足できる生活を続けながら余命も延びるのが理想ですが,世の中そういうものばかりではありません.でも,どちらがいいかなんて価値観の問題であって,普遍的なものではありません.


・Shared 共有する

・Decision Making 意思決定を行うこと

医療者側だけではなく,患者さん側も一緒に,診療に関する意思決定を行っていくということです.単純に情報だけ流して,こちらの言うことに同意してください,とは違うんですね.もちろん,先ほども書きましたが,患者さん側が自ら最新の医学知識を調べてくるのは難しいですので,「きちんと納得して自分の診療(医療)に参画する」というのが根本的な考え方と思います.


そのために医療者側に求められるのは

  1. 患者さんの話を十分に聴取する

  2. 正確な知識

  3. 丁寧な情報提供

  4. 患者さんに寄り添う姿勢

なのかと思います.古くからの医療者からするとめんどくさいと思われるかもしれませんが,治療効果が上がったり診断能力が向上したりしますので,ぜひ取り入れてみてください.

また,これは患者さん側も単なる受け身では良くないということを述べていますので,医療者に任せっきりではダメということですね.

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