予防接種の時に免疫抑制薬はどうする？

免疫の病気を持っている場合，免疫を抑えるための薬（免疫抑制薬）を飲んでいる患者さんもいらっしゃいます．

今月ハッピーヘルス倶楽部で扱っています予防接種（ワクチン）を打つときに，免疫に頑張ってもらってバイ菌に準備しないといけないのに，免疫抑制薬を飲んでいてもいいのかしら？なんて思った方もいるかもしれません．

病気を抑えるために免疫抑制薬は必要ですが，バイ菌に対する免疫をつけるためには免疫抑制薬は邪魔になります．でも，免疫抑制薬を中止したら元の病気が悪くなるかもしれませんよね．

まず大前提として，免疫抑制者は生ワクチンは絶対にダメです！！ ですので，免疫抑制薬を使用している方は，不活化ワクチンのみを使用して良いことになります．理想を言えば，免疫抑制薬を使用する前に予防接種を済ませておいていただけると，しっかりと効果も担保されます．いつ病気になるか分からないことを考えると，普段から「何歳になったら予防接種をする」と決めておくとよいでしょう．

さて，免疫抑制薬を使用している方が予防接種を打つときの推奨は，アメリカリウマチ学会から出されています．

まずインフルエンザ不活化ワクチンとそれ以外の不活化ワクチンに分けられています．これは，インフルエンザワクチンは『時期が決まっていて送らせることが難しい』ことが背景のようです．

	インフルエンザワクチン	その他の不活化ワクチン
メトトレキサート	ワクチン接種後2週間休薬	休薬せずに継続
リツキシマブ	休薬せずに継続．ただし，もし病気の勢いが強くないなら，ワクチン接種後2週間以上空けて次回リツキシマブ投与を計画	可能な限りリツキシマブの次回投与時にワクチン接種．さらにワクチン接種後2週間空けて次回リツキシマブを計画
上記以外	休薬せずに継続	休薬せずに継続

以前に調べたときは新型コロナのワクチンに関連して，他の免疫抑制薬でも休薬していましたが，最近はそこまで複雑ではないようです．

どうしても生ワクチンを接種したいという方もいるかと思いますので，それにつきましても上記アメリカリウマチ学会から推奨が出ていますので，主治医と相談の上で決めていただけるとよいかと思います．