長く続くフワフワに病名がありました
- happyhealthlab
- 11月8日
- 読了時間: 3分
みなさんはめまいを感じることはありますか?
日本の一般的な診療所を受診した患者の中で,だいたい1年間の中で19.5%の患者がめまいを訴えていたと報告されています.耳鼻咽喉科を標榜している場合はもっと多いかもしれませんね.
めまいは,昔から
グルグルまわる回転性めまい
フワフワする浮遊感
と分けて考えることになっています(このグルグルとフワフワの訴えはすぐ変わることには注意が必要です).
グルグルするめまいで一番多いのは,ハッピーヘルス倶楽部でも解説しましたが,良性発作性頭位変換性めまい症(BPPV)だと思います.
一方,フワフワするめまい(浮遊感)がやたらと長く続いてしまう人たちがいて,
「持続性知覚性姿勢誘発めまい(Persistent Postural-Perceptual Dizziness)」という名前が2017年に国際前庭症状分類に加わりました.
どういう病気かというと,こちらの文献では
先にめまいなどがあって転ぶことへの不安が強くなっていることで,脳の中で「危険モード」が続いてしまう
危険モードになると,
転ばないようにするために,平衡感覚よりも目から入ってくる情報に依存しやすくなる
ちょっとした刺激に対して過剰な反応を示す
目からの情報が複雑(動いていたり,混乱する模様であったり)だと,脳が混乱しやすくなって症状が出やすくなる
と説明されています.ですので,平衡感覚-視覚-姿勢コントロールを司るネットワークが十分に機能していないことが本態と考えられているようです.
診断基準としては,こちらにお示ししたようになっています(参考).
A. めまい・不安定感・回転を伴わない浮動性めまいのうち、いずれか1つ以上の症状が、3か月以上にわたりほとんどの日でみられる。
症状は数時間に及ぶ長い持続時間をとるが、強さは増減することがある。
症状が1日中絶え間なく続く必要はない。
B. 持続的な症状は特定の誘因がなくても出現するが、以下の3要因で増悪する。
直立姿勢(座位または立位)
方向や体位に関係なく生じる自発的または他動的な身体の動き
動いている視覚刺激や複雑な視覚パターンへの曝露
C. 本症は、めまい・不安定感・平衡障害を引き起こす以下のような状態により誘発される。急性・発作性・慢性の前庭症候群、その他の神経学的・身体的疾患、あるいは心理的ストレスなどである。
誘因が急性または発作性の疾患である場合、その病態が軽快した後に症状が基準Aのような持続的パターンに移行する。初期には断続的に出現し、その後持続的となることがある。
誘因が慢性疾患である場合、症状は初期にゆるやかに出現し、次第に悪化することがある。
D. 症状が明らかな苦痛または機能障害を引き起こしている。
E. 症状が他の疾患または障害によってより適切に説明されない。
ポイントは,
フワフワする浮動性めまいが長く続いている
体の動きや頭を起こす姿勢で悪くなりやすい
動いているものや複雑なパターンのものを「見ているとき」に悪くなりやすい
日常生活に支障をきたす
ということかと思います.複雑なパターンというのは,こんな感じだと思いますが

こちらのサイトにも分かりやすく載っていますので見てみてください.頭が少し混乱するような,目が回りそうなパターンということですね.
治療は
診断を適切に伝える
個別化された治療を実施する
としています.
<診断を伝える>
病気を正確に理解してもらい,治療可能なものであることを伝えることが大切で,「検査で異常がない」ことが「病気がない」ということではないことを伝えましょう.
<個別化された治療>
その上で,
体の再学習:理学療法(リハビリテーション)
脳内の過剰反応を落ち着かせる:薬物療法
過剰な警戒心や不安に対するアプローチ:心理療法
などの中から患者にあったものを選択することが推奨されているようです.


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