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VEXAS症候群という病気について1

今日は,おそらく多くの方にとってはまったく無関係の病気である,VEXAS症候群という病気について記載しておきます.

これは自分の患者さんで,この病気を持っている方が情報を探す際に多少のサポートになるかと思って記載しておきます.


このVEXAS(ベクサス)症候群という病気は2021年に初めて判明した病気で,成人になってから起こる「偶然の遺伝子変異」によって,炎症が出続けて発熱して様々な症状が出るようになってしまうことが分かっています.

今までは遺伝子変異が成人で起こると,悪性腫瘍(がん)を起こすことに注目されてきました.組織を修復させる遺伝子が傷害を受けることで,正常な遺伝子に戻ろうとする仕組みがダメになってしまうことで,異常な細胞がドンドン増えて悪性腫瘍になるというわけです.

そういう意味で,遺伝子変異→炎症の病気という流れは,この病気が見つかってから特に広まったと思います.


特にUBA1遺伝子というX染色体にある遺伝子に異常が起こることが特徴的です.

X染色体は女性では2本,男性では1本もっていますので,女性は両方のX染色体の異常が出ないとVEXAS症候群は発症しません.逆に男性は1本しかないX染色体で異常が出れば,この病気が発症してしまいますので,


実際90%以上の患者が男性と考えられています.また,遺伝子変異は年齢とともに出やすくなりますので(悪性腫瘍も同様ですよね),中年以降の男性で発症しやすくなると考えられています.

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このUBA1遺伝子変異が起こると,免疫の細胞が炎症をコントロールできなくなってしまい,暴走してしまうことが問題となります.

症状としては,大きく全身症状と臓器症状に分けられます(参考).

  • 炎症による症状:発熱,倦怠感,高CRP血症

  • 臓器炎症:皮膚,軟部組織(関節・軟骨・血管)

に分けて,全身症状としての発熱やだるさ(倦怠感)に加えて,皮膚や関節・軟骨以外にも目や肺など全身の様々な症状を出すことが分かっています.


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他に,静脈の血の塊ができてしまって,肺に飛んだりする病気(深部静脈血栓症や肺塞栓症)もしばしばみられるようですので,足がむくんできたりする場合は注意が必要です.


血液検査では,

  • 赤血球のサイズが大きくなる貧血(大球性貧血)

  • 炎症反応上昇

が特徴的とされていて,血液の病気である骨髄異形成症候群を合併する場合もあるようです.ですので,血液内科に通院している患者さんの中で,よく熱が出たり,炎症反応が理由もなく高いと言われている,という場合もあるかと思います.


この病気は遺伝子検査が必須となりますが,まだ大学での研究レベルでしか検査が出せません.今のところは,横浜市立大学の血液・リウマチ・感染症内科金沢大学の血液内科が検査について相談できるようです.

誰に遺伝子検査をするかは,日本からスコアリングが提唱されていて,

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合計点数で4点以上だと遺伝子検査を実施することが推奨されているようです.

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