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「自律神経が乱れる」ってなに?

先日患者さんが「自律神経が乱れているのでしょうか?」と心配になられていました.

『自律神経失調症』とか『自律神経が乱れていますね』という表現は,確かに医療者から聞かれる言葉かと思います.


自律神経が乱れていると左側のイメージをもたれている方も多いのではないでしょうか.


そもそも自律神経とは何なのかを考えてみましょう.

標準生理学 第8版によると,自律機能と呼ばれる機能として

  • 循環

  • 呼吸

  • 消化

  • 代謝

  • 分泌

  • 体温維持

  • 排泄

  • 生殖

などが挙げられ,生体にとって生きるために最も基本的な機能となります.

これらの機能は,勝手に私たちの意思で変化させられては困るので,手足の動きと違って意識的に調節することができないようになっています.

例えば,短時間意識的に呼吸を止めることはできますが,苦しくなって呼吸を再開せざるを得なくなって,気付いたら「意識せずに」普段の呼吸になっていますよね.


自律神経という神経は,これら自律機能を調節するために存在している神経で,それは私たちの意思とは離れた部分で調節を受けています.ある意味,本能のレベルで調整がされていると思っていただいて大丈夫です.


自律神経は

  • 交感神経

  • 副交感神経

と2種類に分けられます.

交感神経系は,ノルアドレナリンというホルモンが指令の役割を果たしていて,「頑張れー!戦えー!」という行動に繋がることになります.

具体的には,

  • 心臓から出る血液量を増やす

  • 空気をより多く吸い込めるようにする

  • 胃腸の動きを止める(戦うときにトイレに行きたくならないですよね)

などが起きます.

一方,副交感神経系では,アセチルコリンというホルモンが指令の役割を果たしていて,「休めー!落ち着けー!」という行動に繋がります.簡単には交感神経の反対と思っていただけばよいです.


これら2種類の自律神経は,片方だけ頑張っているというわけではなくて,お互いが「バランスを調節する」ことで,0か1かではなく微調整を行っています.

例えば,交感神経側をプラス,副交感神経側をマイナスとすると,

  1. 朝起きる直前:「交感神経+2」「副交感神経ー7」 合計ー5

  2. 朝起きた直後:「交感神経+5」「副交感神経ー5」 合計 0

  3. 朝ご飯を食べた後:「交感神経+8」「副交感神経ー3」 合計+5

  4. 出勤した後:「交感神経+10」「副交感神経ー2」 合計+8

  5. 目の前に突然車が飛び出てきたとき:「交感神経+10」「副交感神経ー0」 合計+10

といったように,状況にあわせて体が活動できるように微調整をしているわけです.


自律神経がおかしくなっていることを考えます.

例えば,体を休めるために夜眠ろうとしているときには「交感神経+1,副交感神経ー9 合計ー8」ぐらいになっていないといけないのですが,なぜか交感神経が興奮してしまって「交感神経+8,副交感神経ー3 合計+5」となると眠れないわけです.今から戦おうと体は言っている中で眠気なんてこないですよね.

このように「状況にそぐわない自律神経のバランス」が起きてしまうことが問題となって,「自律神経失調症」という病名が言われることがあります.


しかし,よく考えてみると,このバランスがおかしくなっている状態は,病名ではなく「状態」です.何かの原因があって交感神経と副交感神経のバランスがおかしくなっているわけですから,原因となる病気(あるいは事態)は別にあります.

少なくとも,国際的な病名を決めてあるICD-10や精神疾患の枠組みを決めているDSM-5において,「自律神経失調症」という言葉は存在していません.

病名ではありませんから,直接的な治療は「根本的な原因を探して解決する」ことになります.例えば,カフェインが交感神経を高ぶらせているなら減らすことが治療ですし,病気によって副交感神経が高ぶる(マイナス側が増える)なら病気を治すことが治療です.


自分の体において,

  • 交感神経側(プラス側)

  • 副交感神経側(マイナス側)

のどちらが状況に合わない変化をもたらしているのかを知った上で,原因となることを探すとよいでしょう.

ちなみに,ChatGPTに「病気以外において,交感神経が興奮してしまう原因を教えてください」と聞いてみたところ,以下のようにお返事がきました.来週のハッピーヘルス倶楽部は「ChatGPTを使いこなそう」にする予定です.


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