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救急車の適正利用

かなり暑くなってきていますので,本格的に熱中症についての対応をご検討ください.

その中で,本当に重症の場合(熱中症の最重症を「熱射病」と呼びます)には,救急車を利用して病院に来ていただく必要があります.


例えば,熱射病の基準は,熱中症の患者さんの中で「神経学的異常」が出ている場合を指します.神経学的異常って何かというと

  • 意識が悪くて呼びかけに対する反応がおかしい

  • 変なことを言い出す

  • 混乱している

といった状態を指します.おそらく多くの方が見ていて,なんかヤバそうと思える事態であれば,それは急ぎで医療機関に行く必要がありますし,救急車を使用すべきでしょう.


一方で,救急車を呼ぶということは,限りある救急車を動員することになって,その救急車は他の地域には行けなくなります.これが「救急車の適切な利用」の問題となっています.

救急車を利用した状況の30%ぐらいは不適切であった.と報告している研究もあるようです.こういうのはヘルスサービス・リサーチ分野の得意な部分ですね.

ですから,救急車が無制限にあって,救急隊員が無制限に存在する地域であれば,こういうことは問題とされませんし,またそもそも救急車がほぼ活動していない地域でも問題ないと思います.

しかし,ある程度救急車・隊員の数が需要に対してギリギリであるならば,地域的には問題視しないといけません.助けられる命が助けられないこともあるわけです.


そんな中,三重県松坂市で,不適切な場合は7700円もらいますよ,という報道がありましたよね.詳細はこちらのHPから.

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これ読んで分かると思いますが,最終的には各病院や診療してくれた医療者の判断も含まれますので,一律でお金もらうわけではなくて「最終的に入院しなくても,この状況なら救急車呼ぶのは妥当だよね」というときにはお金もらわないことになっています.

特に入院するかどうかは結果論ですので,救急車を呼ぶ時点では多くの場合分かりません.


実際,多くの研究で「不適切な救急車利用」をきちんと定義されているものは少ないです.何を持って『不適切』とするのか.少なくとも「受診するための交通手段がないから」は絶対に不適切です!おそらく,これを理由に救急車を利用すると,医療者の心証も悪くなってしまって良い医療を受けられない,なんてこともあるかもしれません.


一方,完全に私見ですが

  • 以前に入院したときと同じような症状が出ている

  • 持病として,治療中の悪性腫瘍や免疫を強力に抑える薬を使っている

  • 見た目が「明らかに」おかしい(ハァハァしすぎているなど)

  • 意識が悪い(呼びかけたときの反応が悪い)

  • 手足冷たい

  • 冷や汗かいている

  • 痛み以外の理由で,動けなくなって食事・排泄ができない

あたりは,かなり重症感を醸し出してきますよね.こういうのがあれば救急車を呼んでもらってもいいと思います.もちろん,自分の車などで受診できるぐらいならそれでもいいですが,受付で待たされすぎないように注意してください.

Emergency Severity Indexというものもあるようですが,血圧や酸素を測定する装置が必要になるようです.だいたい上に書いたような項目で緊急度を判定しています.

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今の時代はオキシメーターなどは手元にあってもいいかもしれませんね.

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