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聞く力が信頼関係に

前回Shared Decision Makingについて書かせていただきましたが,夏休みの課題を子供にやらせるのに

  • まだ課題やってないの?早くやりなさい!

  • まだ課題やってないの?いつごろやるのがいいと思う?

という言葉がけで,結果が違うのはなんとなく分かりますよね.


前者は「今やるところだった!」と反発をくらうでしょうし(最近の子供はどうなんでしょうか),それで機嫌を損ねて課題をやらなくなる可能性もあります.

後者はどうでしょうか?あくまで自分で課題をやる日程を決めますので,「やらされている感」はなく,「自分がやると言った」手前やらざるをえません.


SDMの良い点は,自分が納得して何かの意思決定を行える点です.押しつけではないというところですね.

何かの薬を飲むことについても,昔は「飲まないといけない」という姿勢で医療者は勧めていましたよね.タバコと肺癌の関係と一緒ですが,薬を飲まないと100%何かが起こる事態ってそんなに多くありません(もちろん中にはありますのでご注意ください).

そうなると「これ飲まないと心筋梗塞に絶対なりますよ」という表現は正しくないことになって,最近は「あなたの10年後の動脈硬化性疾患発生のリスクは28%です」といった感じになりますよね.ガイドラインなどで「リスクが●%以上の場合は薬を飲みましょう」と書かれているので,それに従って判断をすることになります.


ただ,ガイドラインは各患者さんの都合や医療状況を加味していません.もしかしたら,明日から楽しい海外旅行に行くのに,新しい薬飲んで有害事象出たら嫌だと思う人もいるかもしれません(至極真っ当な理由です).今飲まないと問題が起きる薬なんて,外来で処方せずに入院してもらいます.


そこで大切なのは『聞く力』です.膠原病診療の中で「どういう場合に医者を信用しますか?」と聞いた研究があり,

  • 医者が聞くスキルを持っている場合

  • 医者が知識を持っている場合

がダントツで多かったです.医療者としては医学的知識を持っていることが強みと思いますが,同じぐらいの程度で『話を聞いてくれる医者』が信頼されるということです.

忙しい外来だと難しい場合もありますが,余裕がある場合は雑談もするように心がけています.同じ研究で,効果のある薬を選んでくれて,サポートしてくれる医者の場合に,患者さんはきちんと薬を飲んでくれるようですよ.


患者さん側でも,恐る恐るにはなってしまうと思いますが,忙し具合を見ながら「たわいもない雑談」をしてみてはいかがでしょうか.楽しく会話をしてくれる医者は,良いかかりつけ医なのかもしれませんよ.

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