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腰椎の骨密度検査の解釈にご用心

前回骨密度検査の解釈の仕方で,大腿骨は「頚部」と「全体」を見ることが大切!というお話を書かせていただきました.

本日は『腰椎』の骨密度の解釈について書かせていただきます.


まず,骨密度検査の結果って,まじまじと見たことありますか?

患者さんの手元に配られるのは「75%」とか単純に数値が載っているだけだと思うのですが,医療機関ではもう少し詳しい結果も見ることができます.聖隷浜松病院のホームページに掲載されていました(あまり詳しい項目までは見ることができませんが,医療者は詳しい結果を持っていることが分かると思います).


例えば,腰椎には1番から5番までの骨があります.第一腰椎,第二腰椎...という感じです.それぞれについて骨の密度が測定されているのですが,例えば以下のような結果だった場合を見てみましょう.ちなみにT-scoreは若い人を0としたときに,どれぐらい低下しているかの基準(標準偏差)となります.マイナスが大きいほど骨密度は低いと考えてください.日本ではYoung Adult Means(YAM)という数値で出ることもあって,それは若い人を100%としたときの数値になります.

腰椎

骨密度

T-score

第1腰椎

0.751

-2.4

第2腰椎

0.771

-2.3

第3腰椎

0.791

-2.3

第4腰椎

0.912

-1.2

第5腰椎

0.834

-1.6

この場合,平均をとった結果は,骨密度が0.811となってT-scoreは-2ぐらい(適当の数値です)になります.

ただし,第4腰椎だけ他と比べてT-scoreが高いと思いませんか?

実は骨って骨折して潰れると,圧縮されますので骨密度は高くなります.あくまで見た目(測定上)の問題で,基本スカスカであることは変わりません.圧迫骨折をした結果として骨密度が高く見えてしまうことがあります.そうすると,結果の解釈が変わってしまいますよね.骨折しまくっている人が,骨密度が高いという変な現象が起きます.


そこで,国際臨床骨密度学会から指針が出されていて,

  • 明らかに変形している骨は除外

  • 一番悪い骨からT-scoreが1以上数値がずれている骨は除外

とされています.つまり,一番悪い骨は第1腰椎となって,T-score -2.4となっていますので,そこから1以上ずれている(T-score -1.4以下)の骨は除外して計算するようになっています.そうなると,第4腰椎は除外されますよね(-1.2 < -1.4).第4腰椎は,この腰椎の中では「異常」とみなされたわけです.


そうすると,骨密度の平均は0.787となって,T-scoreは-2.3ぐらいになりますよね.先ほどの数値よりも悪い結果となります.

このように,骨密度検査は圧迫骨折を起こすと一見良くなってしまうことに注意をして,そもそも骨折をしていないかについてのレントゲン写真も一緒に撮影するとよいでしょう.

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