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鎮痛薬に胃薬は必要?

9月28日
読了時間: 3分

2026年9月に行いましたセミナーでいただいた質問に回答する企画の第二弾です.

みなさんは,いわゆる「痛み止め」を処方されたときに,「胃薬も出しておきます」と言われたことはありますか?

どういうときには胃薬が必要なのか?または不要なのかというのをお答えします.


ポイントは

  1. 痛み止めの種類

  2. 患者さんの胃潰瘍・十二指腸潰瘍のリスク

の掛け算となります.


<痛み止めの種類>

医療者が処方する痛み止めは,いくつかの種類があります.大きくは

  • アセトアミノフェン(商品名:カロナール)

  • NSAIDs(商品名:ロキソニン,イブプロフェンなど)

という風に分けられます.


アセトアミノフェンは,実は消化管の粘膜に悪さをほとんどしないとされていて,アセトアミノフェンで「胃が痛くなる」ことはありません.効果は少し弱いけど,有害事象はほとんどないというのがアセトアミノフェンのウリです.ですので,アセトアミノフェンに対して胃薬を処方する必要はありません.


一方,NSAIDs(非ステロイド性抗炎症薬)は,薬の作用機序のために胃や腸の粘膜に傷害を起こしやすいとされています.ですので,NSAIDsを処方するときには,胃を痛めやすい(場合によっては腸を痛めやすい)とされています.

ただし,こちらも薬の進歩によって,消化管粘膜を傷害しにくいNSAIDsが開発されていて

  • セレコキシブ(商品名:セレコックス)

  • エトドラク(商品名:ハイペン)

  • メロキシカム(商品名:モービック)

といったNSAIDsが代表例です.これらの薬を使う場合は基本的には胃薬は不要です(よほど高リスクの場合は必要なときもあります).

ただし,これらの薬は市販では購入できませんので,医療機関で処方されるのみです.


痛み止めの種類としてのまとめ

  1. アセトアミノフェンでは胃は痛まない

  2. NSAIDsは胃粘膜を傷める可能性があるが,傷めにくいNSAIDsもある



<胃潰瘍・十二指腸潰瘍のリスク>

アメリカ消化器学会が2009年に出しているガイドラインによると,

高リスク(以下の1つ以上)

  • 潰瘍合併症の既往(特に最近)

  • 以下中リスクの3つ以上のリスク因子がある場合

中リスク(以下のうち1つ,あるいは2つのリスクがある)

  • 年齢 >65歳

  • NSAIDs高用量:治療の最大量を用いる場合

  • 合併症のない潰瘍の既往

  • アスピリン,ステロイド,抗凝固療法の併用

低リスク

  • 上記リスク因子なし

上記以外に,ピロリ菌を持っている場合(除菌していない場合)は,別にリスクと考えます.

例えば,65歳以上の方が,ロキソニンを毎食飲んだ場合には中リスクの2項目(年齢,高用量)を満たしますので,潰瘍リスクは中リスクと判定されます.


ただし,1日だけ痛み止めを飲んだとしても,よほど高リスクじゃない限りはなんともありません.特に期間は決まっていないと思いますが,1週間以上しっかりと飲む場合はリスクに応じて胃薬が必要になるのではないかと思います.


<総合して胃薬を投与するかどうか>

これらリスクを評価した上で,心血管疾患のリスクが低い場合は「中リスク以上」であれば胃薬の併用が必要となるとなります.

潰瘍リスク低

潰瘍リスク中(以下どちらか)

潰瘍リスク高(以下どちらか)

胃薬不要

  • 胃酸を抑える薬を併用

  • 粘膜を傷害しにくいNSAIDsを使用

  • NSAIDsを避ける

  • 粘膜を傷害しにくいNSAIDs+胃酸を抑える薬併用



ここでどういった胃薬を使うかですが,研究で効果が証明されているのは

  • 胃酸を抑える薬:プロトンポンプ阻害薬と呼ばれる種類(オメプラゾール,ランソプラゾール,ラベプラゾール,エソメプラゾール,ボノプラザン)

  • ミソプロストール(商品名:サイトテック)

のみとなって,いわゆる胃の粘膜を保護する薬として処方されやすいレバミピド(商品名:ムコスタ)やテプレノン(商品名:セルベックス)は,痛み止めの潰瘍予防という点では効果が証明されていません.

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