COVID-19感染症が増えているようです
- happyhealthlab
- 2024年7月23日
- 読了時間: 4分
2009年に新型インフルエンザA(H1N1)pmd09が発生した際には,けっこうすぐに「あまり危険ではない」ということが分かり,その名前から「新型」の文字が消え去りました.
2019年に新型コロナウイルス感染症が発生して,5年が経ちますが未だに「新型」の文字が消えません.世の中として,「まだ注意をしないといけない」というメッセージを載せるためだと思われます.ドイツからの報告だと病院内での死亡について
インフルエンザウイルス:4.7%
新型コロナウイルス(デルタ株):16.8%
新型コロナウイルス(オミクロン株):8.4%
だったようです.あくまで病院に入院した人が対象ですから,多くの入院しない人の研究ではないことに注意をしてください.日本から報告でも,特に年齢が上がるほどインフルエンザよりも新型コロナウイルス感染症の方が死亡率が高くなることが示されています.若くて病気がない人に新型コロナウイルスが罹ることは生死には関係ありませんが,long COVID(新型コロナウイルス後の長期的な後遺症)をきたす方も中にはいますので,合理的な範囲で対策を打てるものは打てば良いのではないかと思います.
感染しないためには,
新型コロナウイルスを粘膜に付着させない
新型コロナウイルスが粘膜に付着しても発症させない
のどちらかになります.重症化させないためには,また別の手段となります.
前者は,環境の換気や相手との距離,マスク装着などによる粘膜に付着するウイルス量を減らす努力になると思いますし,後者はワクチンを中心とした薬物的な対応となるかと思います.
多くの呼吸器ウイルス感染症は,「飛沫感染」や「接触感染」で伝播していきます.
飛沫感染というのは,口や鼻から周囲に飛び散るものの大きさが,ある程度の大きさだと周囲1-2m以内までしか飛びませんので,5mも10mも離れた人には届きません.これを飛沫感染と呼びます.
接触感染というのは,病原微生物が付着した手や物を介して,それが相手に伝わっていく感染様式を指します.つまり,接触することで伝わるので近い距離で病原微生物が移動していきます.飛沫感染でも,咳やくしゃみをした際に手で口を被うと手に病原微生物が付着しますので,その手をそのまま他の人に触ると相手に病原微生物が移動します.ただし,この病原微生物を口や鼻にこすりつけなければ,「移動」はしますが「感染」は起きません.病原微生物ごとに「悪さしやすい場所」が決まっているので,そこに付着しなければ問題は起こしません.

また最近はエアロゾルという,ある程度小さいサイズでの病原微生物の伝播について知られるようになりました.通常は飛沫というサイズでも,咳き込み方や声の出し方によってエアロゾルというサイズになってしまい,これだと遠くまで飛んで行ってしまいます.
ちなみに空気感染というのは,多くの場合にかなり小さいサイズで外に放出される微生物における感染様式を指します.空気中を伝わって感染するものを指す言葉ではありませんので(そうなると呼吸器ウイルスはすべて空気感染になってしまいます)ご注意ください.典型的には,結核,麻疹(はしか),水痘(水ぼうそう)が有名です.これらは常に小さなサイズで外に放出されますので,換気していない空間においては(場合によっては十分な換気でなければ)遠くの人でも感染してしまいます.
新型コロナウイルスは,「状況によっては」エアロゾルを放出し問題となるわけですから,典型的な空気感染を示す病原微生物とは異なります.
この感染様式は,新型コロナウイルスが出現してから何も変わっていませんので,「そんなこと知ってますよ」と言われるかもしれませんが,以前の生活様式に徐々に戻るということは呼吸器ウイルス感染症には激弱な状態に戻っていることになりますので,再度お伝えさせていただきました.
マスクの好き嫌いとか,ワクチンの好き嫌いとかの問題ではなく,それぞれの人が自分の状況を鑑みて判断をしていただくのがよいでしょう.ワクチンで副反応が強く出る方に,現状でワクチンを強く推奨することはありません.同時に,マスクで肌が荒れてしまう方に常時マスクを強いるのも正しくないと思います.
一方で,自分だけで感染して周囲に影響を与えない方は少ないと思いますので,リスクに応じた防御方法を考えていただくといいかと思いますし,万が一自分側に感染した可能性がある場合は他の方への影響を考えて行動をしていただくのがよいでしょう.
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