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体に水はないけど点滴を希望しますか?

さて,今回の点滴シリーズのまとめをまず行いましょう.

  • 点滴は塩水なので,基本的にカロリーやビタミンなどは入っていない

  • 体の水量が正常であれば,点滴で入ってきた塩水はすぐに体の外へ尿の形で排泄される

  • 体に水が溜まりやすい心不全・肝硬変・腎不全の患者に対して点滴を入れすぎると,悪いことが起きてしまう


今日は,点滴をしてもよいであろう「脱水」の患者さんのお話.

以前にも書きましたが,体に水がないところに水を入れることで正常になるわけですから,脱水患者さんに点滴を行うことは理に適っています.

例えば,嘔吐や下痢で体の水が出て行ってしまう場合や,食欲がなくて水分が摂れない場合は脱水が起きてしまう場合などが当てはまります.


みなさんの中で下痢になったことはない,という方は少ないと思いますが,その際に毎回点滴しないととても体調が悪くなったという方はいますでしょうか?

そうなんです.実は脱水になったからといって,全員が点滴をしないといけないわけじゃないのです.


特に小児は脱水になりやすいので,小児において研究が進んでいます.

ウイルス性胃腸炎(ロタウイルスやノロウイルスなど)で救急外来を受診して中等度の脱水があった小児に対して,点滴による治療を行った患者と口から水分を摂ってもらった患者とを比較した研究では,4時間後に改善していたのは,点滴 56.8%,口から摂取 55.6%と同等でした.一方,治療が始まるまでの平均時間は,点滴 41分,口から摂取 20分と口から摂取する方が早く治療が始まったとのことです.そりゃ,点滴するには準備が必要ですが,口から摂取してもらうのは飲み物を買ってきてもらえばいいわけですからね.

よほどひどい脱水じゃなければ(自分で水分が摂取できる前提)点滴と口から水分を摂取する方法の治療効果は同等で,口から摂取する方法の方が安価・早い,となります.どこかの牛丼屋みたいですね.


じゃあ,どんなものを飲めばいいのか?ですが,もちろん経口補水液でもいいのですが,特に小児では飲みにくいかもしれません(最近は味がついているものもあるようですね).

そこで,リンゴジュース・好きなものを飲ませた患者と経口補水液を飲ませた患者とを比べた研究があって,結論は「飲めるならどちらでもよい」となっています.

こちらの患者用のページを見てみると,

  • 甘すぎる飲料

  • カフェイン入りの飲料や酸性にする飲料(オレンジジュース)

は避けた方がよいようです.通常のスポーツ飲料は飲みやすくするために糖分が多い(最近は控えられているのが多いですが)ので,浸透圧的にも半分に割って飲んでもらうことが多いですね.

あと,オレンジジュースよりはリンゴジュースの方がよいようですね.小さいころに体調悪いときはリンゴをすってもらったのを思い出します.


少量ずつ飲んでみても吐いて水分がそもそも摂取できない場合は迷わず医療機関を受診してください.坐薬の吐き気止めなんかを使って対応することもできますし,どうしても飲めなければ点滴をする必要も出てくるかと思います.



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