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呼吸器ウイルス感染症が流行しております

年末年始からインフルエンザが急激に流行するようになり,定点あたりの観測数が10を超えております(詳細はブログ記事を参照ください).

インフルエンザだけでなく,原因ウイルスの名前が判明しない「風邪」ももちろん多いですし,新型コロナウイルス感染症も収束したわけではありません.


新型コロナウイルス感染症が流行し始めたときに中東遠総合医療センターHPで記事を載せましたが,

  1. 検査には良い検査と良くない検査があります

  2. 良い検査とは,検査結果によって(陽性とか陰性),追加の検査や治療方針が変わるもの

  3. 最終的に診断されても,特別な治療が選択されないなら,良い検査ではありません

という原則を再度確認をしましょう.


先日テレビの中で

「インフルエンザは発症12時間以内に検査を行っても,検査が陰性と出てしまうことがあるので,検査希望の方は12時間以上経ってから受診しましょう」

と発言している方がいました.こちらの文献含めて,発症12時間以内は検査が陽性になりにくいという事実は正しいのですが,本当に12時間以上経ってから受診することに意味があるのでしょうか?


そもそも,インフルエンザのときに患者さんが期待されるのは,抗インフルエンザ薬を処方してもらうことかと思います.解熱薬なら,インフルエンザでも普通の風邪でも処方されます.

じゃあ,抗インフルエンザ薬は誰がもらうべきでしょうか?日本では「誰でも」もらうことが可能ですが,実は世界的な推奨とは違っています.

そもそも,抗インフルエンザ薬を使用するとどんな良いことがあるのでしょうか?

  • 健常者が抗インフルエンザ薬を内服すると,発熱期間が最大で24時間短くなる(発症からのタイミングが遅いと効果は弱くなります)

  • 健常者が抗インフルエンザ薬を内服しても重症化や入院は予防しません

  • 重症化リスクが高い患者が抗インフルエンザ薬を内服すると,重症化を予防する可能性が示唆されています

これらを元に世界保健機関ではガイドラインを作成しており,重症化リスクの低い非重症インフルエンザに抗インフルエンザ薬を使用しないことを強く推奨しています.

逆に,重症化リスクの高い患者やインフルエンザ自体が重症(入院必要)な場合には,抗インフルエンザ薬の投与が推奨されます.


では,誰が重症化リスクの高い患者かというと,

  • 65歳以上

  • 免疫抑制者(薬剤や基礎疾患)

  • 心血管疾患を持病で持っている

  • 神経疾患を持病で持っている

  • 慢性呼吸器疾患を持病で持っている

  • 妊婦

あたりのようです.昔は小児(5歳以下)も入っていたと記憶していましたが,他のところでは入っていましたね.

ですので,私のような40歳代で治療中の病気もない人は,12時間以上経ってから受診してインフルエンザと診断されても解熱薬処方されて「誰にもうつさないように家で寝ててください」と言われて帰るだけです.逆に,実はインフルエンザじゃないのに病院に行ったがためにインフルエンザをもらって帰ってくるリスクもあります.

多くのウイルスによって引き起こされる病気に特効薬はありません.ですので,風邪をひいて病院に行くメリットは解熱薬をもらうぐらいです(市販薬でも同じです).


逆にどういうときには医療機関を受診した方がいいのかを記載しておきます.

  • 水分がとれなくて脱水になっている場合(特に小児では尿量を注意してみてください)

  • ウイルス疾患の範疇を超えて細菌による感染症になっている場合

前者はいいですね.脱水になっているのに口から水分がとれない場合は点滴をするしか方法がありませんので,医療機関を受診してください.これは胃腸炎のときも同様です.


後者は少し知識が必要です.

以前のハッピーヘルス倶楽部でも取り上げましたが,風邪薬は風邪を治す薬ではなく,あくまで対症療法の薬です.ですので,風邪は薬では治りません.風邪で医療機関受診してもあまり意味はないです.しかし,細菌感染症になっていたら別の話です.これは抗菌薬が必要です.最初はウイルスによる感染症(風邪)だったのに,途中から細菌感染症になることがあります(あるいは最初から実は細菌感染症).

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こちらの絵のように,軽症の風邪は数日でよくなりますし,どれだけひどい風邪でも7-10日以内には良くなります.長引くといっても,症状の一番ひどい部分は4-5日目ぐらいで症状は軽くなりながら続く感じです.

しかし,ここを外れて,4-5日経っても「症状が悪くなりつづける」場合や一度良くなったのにぶり返して症状が悪くなる場合は,単純なウイルス感染症ではない可能性があります.1週間熱続いていますなんて,風邪としてはちょっと変です.

そういう場合は,ぜひ医療機関を受診してください

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