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妊娠中の方はぜひ知っておいてください

妊娠をされると子供が健康に生まれてきてほしいと思うのは,どの親御さんでも同じだと思います.もちろん,どんなに気をつけていても一定の割合で流産が起きたり,奇形などが起きますが,日常生活環境で曝されるものには人一倍注意を払っていると思います.


その中でも医療に関連して薬や検査による特殊な状況については,「少しでもリスクを避けるために」検査を避けたりする傾向が,患者さんだけじゃなく医療者にもあります.


この場合「検査をすることでのメリット/デメリット」と「検査をしないことでのメリット/デメリット」を天秤にかけることになりますが,必要な検査だけが提案されるという前提では,検査をしないことで診断がつかなくて適切な治療に結びつかないことになります.

つまり考えるべきは,『検査を行うことでのデメリットがどれほど大きいのか』ということになります.


結論を書くと,検査を行うことで子供に対して起こるデメリットはほとんどの場合になく,

「過度に画像検査を避けたり,画像検査を受けたから授乳をしないようにしよう,とは考えなくてもよい」

ということになります.必要な検査はちゃんと受けて,適切な治療を受けてもらえるといいと思います.


アメリカ産婦人科学会では,妊娠のどの段階でどれほど放射線があたると,どんな合併症が起こりやすくなるのかを示しています.

▼ 妊娠初期(胚の時期)

妊娠時期

影響

推定閾値線量

着床前


(受精後0〜2週)

胚の死亡、または影響なし


(all-or-none の法則)

50〜100 mGy

器官形成期


(受精後2〜8週)

先天奇形(骨格・眼・生殖器)

200 mGy

 

発育遅延

200〜250 mGy

▼ 胎児期(Fetal period)

妊娠時期

影響

推定閾値線量

8〜15週

重度知的障害(高リスク)

60〜310 mGy

 

知的機能の低下

1,000 mGy あたり IQ 25ポイント低下

 

小頭症

200 mGy

16〜25週

重度知的障害(低リスク)

250〜280 mGy

これに対して,各検査で当たる放射線量は以下の通りです.

検査の種類

胎児線量* (mGy)

◆ 非常に低線量の検査(< 0.1 mGy)

 

  単純X線撮影

 

        頸椎撮影(正面・側面)

< 0.001

  CT

 

        頭部・頸部CT

0.001〜0.01

  単純X線撮影(その他)

 

        四肢X線撮影

< 0.001

        マンモグラフィー(2方向)

0.001〜0.01

        胸部X線撮影(2方向)

0.0005〜0.01

◆ 低〜中線量の検査(0.1〜10 mGy)

 

  単純X線撮影

 

        腹部X線撮影

0.1〜3.0

        腰椎X線撮影

1.0〜10

        静脈性腎盂造影(IVP)

5〜10

        二重造影バリウム注腸

1.0〜20

  CT

 

        胸部CT・CT肺動脈造影(CTPA)

0.01〜0.66

        限局的CT骨盤計測(大腿骨頭を通る単一断面)

< 1

  核医学

 

        低線量肺血流シンチグラフィー

0.1〜0.5

        テクネチウム99m骨シンチグラフィー

4〜5

        肺デジタルサブトラクション血管造影

0.5

◆ 高線量の検査(10〜50 mGy)

 

        腹部CT

1.3〜35

        骨盤CT

10〜50

        18F PET/CT 全身シンチグラフィー

10〜50

こちらには書いていませんが,エコー検査やMRI検査では放射線の被曝はありません.

そういう意味で,妊婦の方でも比較的安心して検査を受けられると思いますが,こちらにお示ししたようにCTについても,多くの場合で問題となるほどの放射線の被曝にはならないことになります.


実は,私たちが日常生活をしている中で,年間平均1.1-2.5mGyほどの放射線を浴びていることになりますので,そう考えると医療で少しばかりの放射線を浴びてもあまり影響はないということになります.

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