椎間板ヘルニアの治療
2026年9月に行いましたセミナーでいただいた質問に回答します.
今回腰痛のお話しをさせていただいたので,腰椎椎間板ヘルニアの治療についてまとめます.
大きくは,
薬による治療+数日の安静で改善するか見る
薬が無効な場合に,一定期間をおいて手術などの局所への治療
という枠組みです.
まず日本と海外の推奨について表にします.
日本は腰椎椎間板ヘルニア診療ガイドライン2021の記載から引用しています.
海外はCampbell's Operative Orthopaedicsという教科書から引用しています.
日本 | 海外 | |
| 炎症を抑える薬 神経による痛みのための薬 アセトアミノフェン | 炎症を抑える薬 |
| 「3ヶ月」 この期間内で
| 「6-8週間」 |
|
|
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ということになっているようです.
<薬物治療>
炎症を抑える薬として,
NSAIDs(鎮痛薬)
ステロイド
が用いられる点は,日本も海外も同様です.
一方で,日本では
プレガバリン
デュロキセチン
ノイロトロピン
といった,神経因性疼痛(神経が傷んだときに使う薬)が提案されています.これは,海外では提案されていません.
坐骨神経痛(多くが物理的な神経の圧迫)に対してプレガバリンを使用した研究で,すでに効果がなかったことが報告されています.糖尿病などの「神経自体が炎症を起こして傷む」場合と,坐骨神経痛などの「神経が外部から押されて傷む」ものとは,プレガバリンの効き方が違うのではないかと思います.ですので,椎間板ヘルニアの場合も,おそらく効果は報告されていないと思います.
<手術治療>
最終的に,完全に治すことは手術をもってしても難しいようですが,痛みのコントロールという点では優れた方法とされています. 手術による改善率という点では
日本:記載なし
海外:79-90%
と書かれていますし,薬物治療などがうまくいかない患者が対象という点では,自然に治らない人を対象としてこの数字なので,比較的優秀な治療方法とされています.
<椎間板内酵素注入療法>
椎間板の中に針を刺して,椎間板を縮める治療です.外から針を刺して薬を注入しますので,手術ではありません.
この治療方法は,海外では推奨されていない一方で,日本では記載がされています.
日本では,この治療方法が確立していますが,世界的にはまだまだ確立していないので日本からのデータが中心ですが,報告によると
効果は若干手術より劣るかもしれない
安全性という点では手術と同等
と考えられているようです.じゃあ,手術で良いじゃん!と思うかもしれませんが,
日本では「3ヶ月までは自然に治るかも」というところで,手術が海外ほど早期に行われない傾向があるようです.その期間内でも実施しやすいという点で,この方法が提案されているようです.もちろん,この治療で改善がない場合は手術に移行しますが,何もしないよりは手術へ移行する患者さんは少なかったとされています.



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