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不飽和脂肪酸とトランス脂肪酸

前回の記事で,飽和脂肪酸が心筋梗塞のリスクだから,不飽和脂肪酸(固まらない油)に変更しましょうと書きました.実は不飽和脂肪酸の中の「トランス脂肪酸」という脂質も心筋梗塞のリスクになるということが報告されました.この報告では,トランス脂肪酸 1.3g/日摂取したグループに比べて5.6g/日摂取したグループの方が,1.39倍心血管死亡が増えたとしました.


そもそも,飽和脂肪酸,不飽和脂肪酸,トランス脂肪酸(シス脂肪酸というのもあります)ってなんでしょうか?

これは脂肪酸が作られている炭素の繋がり方に違いがあって,飽和結合のみのものを飽和脂肪酸,一つでも不飽和結合があるものを不飽和脂肪酸と呼んでいます.

不飽和脂肪酸(不飽和結合あり)の中で,不飽和結合の前後の炭素の付き方によってシス型とトランス型というものがあります.トランス型は不飽和脂肪酸という括りですが,体内では飽和脂肪酸に近い影響を与えるようです.

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食品に含まれる脂肪酸の不飽和脂肪酸はほとんどがシス型で,不飽和脂肪酸から工業的に加工油脂を作る際にトランス型が作られるようです.ですので,飽和脂肪酸を減らすためにバターからマーガリンに減らすと,飽和脂肪酸は減りますがトランス型(不飽和)脂肪酸が増えることになります.あらら,困ってしまいますね.


先ほどの研究を見直してみると,患者の集団をそれぞれの栄養素の摂取量に応じて5つのグループに分けています.トランス型脂肪酸としたら,

  • 一番少ないグループ 1.3g/日

  • 一番多いグループ 5.6g/日

としています.では,同じ研究の中で飽和脂肪酸はどう分けられているかというと

  • 一番少ないグループ 34.7g/日

  • 一番多いグループ 67.5g/日

トランス脂肪酸と見比べて,その総量がかなり違います.そもそもトランス脂肪酸は私たちの生活においてほとんど摂取していないのです.

同じだけ摂取していれば,どちらを気をつけよう?という議論になりますが,圧倒的に飽和脂肪酸が多いわけです.


栄養データはこう読む!にグラフが出ていて,

<飽和脂肪酸>

<トランス脂肪酸>

肉類 27%

乳類 25%

油脂類 9%

穀類 9%

卵類 8%

菓子類 7%

豆類 7%

魚介類 4%

その他 4%

菓子類 18%

パン類 18%

油脂類 17%

インスタント食品 9%

乳類 3%

マーガリン 5%

ファーストフード 4%

その他 1%

肉類(自然由来)13%

乳類(自然由来)11%

油脂類(自然由来)2%

単純に<飽和脂肪酸>の肉類と乳類の割合が多いので減らしやすそうですね.<トランス脂肪酸>だと菓子類と油脂類あたりを減らしやすそうです(パンは主食なので減らしにくいですよね).菓子類と油脂類は飽和脂肪酸にも含まれています.

マーガリンは少ない不飽和脂肪酸の中の4%のみということで,これが多少増えてもそんなに増えなさそうですよね.


ちなみに,最近はトランス脂肪酸フリーのマーガリンやショートニングもあるようです.トランス脂肪酸は工業的に加工する際に出るものですから技術開発とともに生産者側が注意をするものになるのでしょう.どちらかというと,飽和脂肪酸は食材を選ぶ消費者側の問題となります.

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